Sommer Himmel

ドイツ・バンベルグ大学やバンベルクの街、帰国後の生活について書いていきます

「幸せ」の基準

「あなたは今幸せですか?」

この質問をされて、即答できますか?

 

「幸せ」の基準は人それぞれです。

今の私の状況を見て、さぞかし幸せだと思う人もいると思います。

家族は離れていてもいつも応援していてくれて、

日本の友達もやさしく電話してくれる。

両親は私のわがままでも留学を快く受け入れてくれて、

大学の交換留学にも合格して、

今日本人のいない環境で思う存分勉強している。

たしかに充実しています。

でも、それは幸せと同じなのでしょうか?

 

私は、今幸せです。と即答することはできませんでした。

というのも、私の中で「幸せ」というものについて考えたことがなかったため、

一体何をもって「幸せ」と言えるのか、わからなかったのです。

 

「幸せ」という言葉、漢字からしてほっこりする言葉です。

世の中にはたくさんの人が住んでいます。たくさんの文化があります。

毎日を生活するので精一杯な人もいれば、

悠々自適に自分のことしか考えていない人もいます。

でも、どんな人でも幸せになることはできるのだと思います。

お金がないから幸せでない、お金があるから幸せは違う。

 

私の考える「幸せ」とは、

笑顔になること

です。

 

笑顔とはすばらしいもので、笑顔になった一瞬で、

心が温かくなり、自分だけでなく周りの人や雰囲気までも変えることができる

魔法のようなものです。

どんなこわもてのお兄さんも、笑顔になると一気に人間らしく見えたりします。

 

では、そんな笑顔にどんな時になれるのでしょうか。

私自身考えてみると、笑顔になるのは、

リラックスしていて、

自分を包み隠さず表現でき、

心から一緒にいたいと思える友人と時間を共に過ごし、

周りの人に目を向けられている時です。

 

自分のことで精一杯の時は、

私は大変なのだから!と常に怖い顔をしていたと思います。

特にドイツに来たばかりのころは、

慣れない環境で、知り合いもいないし、日本語も使えないし、

相談できる日本人もいないのに、トラブルもたくさんあり、

何をどうしていいのかわからず、

常にピリピリしていました。

 

とにかく、私は今一人で頑張ってるんだから!と、

日本との時差など考えず親に電話してしまうくらい、

周りが見えていませんでした。

 

そんな時はもちろん笑顔にはなれていなくて、

眉間にしわを寄せながら、悩み続ける日々でした。

 

でも、だんだん友達ができて、生活にも慣れてきたころ、

最初に感じていたドキドキ感もなくなり、

モチベーションが一気に下がってしまいました。

ドイツで勉強することが楽しくなくなってしまったのです。

日本にいる友達は、みんな楽しそうに遊んでいるのに、

私はなぜ一人だけ異国の地で毎日他国の人と闘っているの?

とつい思ってしまいました。

 

私が望んでバンベルクに来て、日本人のいないところにいるのに、

全部自分の責任を何かに押し付けようとしていました。

 

そんな時に、渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」という本に出会いました。

この本の中に、「笑顔で生きよう」と書かれていました。

どんな時でも笑顔でいると、すべてうまくいく、と。

 

思いなおせば、私はドイツという素敵な異国にいて、

日本人のいない理想的な環境で勉強ができ、

気心知れた友達に出会え、ちゃんと食事もでき、

毎日寝ることもできている。

 

これはとても感謝すべきことなのではないか、と思いました。

昔からなるべく笑顔でいることを心がけていたのに、

すっかり最近は笑顔もなくなっていて、

いつも面白くなさそうな、つまらなさそうな表情をしていたと思います。

 

この本で根本的に大切なことを改めて思い出しました。

当たり前だけど、それが難しい。

そんな言葉がぴったり当てはまるのが、笑顔だと思います。

 

ずいぶん話が飛びましたが、

私の「幸せ」の基準は「笑顔」です。

渡辺さんの本を読んで、笑顔を心がけるようになると、

毎日に少しずつ色が取り戻されたように、明るくなり、

楽しくなっていきました。

たくさんの人とも出会いました。

 

留学は楽しいこともあるけれど、

辛いことのほうが大半だし、それを何とか乗り越えなければなりません。

それに、留学は孤独です。

日本での何気ない、でも不自由のない生活を思い返してしまうくらい、

辛い時もたくさんあります。

 

そんな時でも、一瞬でも一日の中で「笑顔」になれると、

何となく心が温かくなる気がします。

お花を見てきれいだなと思ったり、空を見て素敵だなと思ったり、

友達と話していて楽しいなと思ったり、授業中に先生の寒いギャグにクスッとしたり、

お母さんと歩いている小さな女の子を見てかわいいと思ったり、

バス停でプレッツェルを食べているおばあちゃんを見て、

プレッツェル食べたいなと思ったり。

本当に何でもない毎日が切り取られた写真のように見えてきます。

 

「幸せ」の基準は人それぞれだけど、

自分なりの基準を見つけることで、

少し毎日が楽しくなった気がします。

 

辛い時こそ「笑顔」になってみる。

そして「幸せ」を感じる。

これも一つの方法だなと思ったのでした。